技能士の雑記 技能検定対策

『繋がる技能・技術』 とか、それっぽい感じの言葉を思いついたので 記事にしてみる会

繋がるチラシ裏

お世話になります。きり彦です。

ダラダラと長い話になるかも知れませんので 画像だけでも見ていってください

2月に入り 後期技能検定を受験された方々も ぼちぼち落ち着いてくる頃でしょうか。期末に向けて忙しくなってくる方も居られるかもしれませんね。

さて今回は 『繋がる技能・技術』という 深いのやら浅いのやらは微妙ですが、それっぽい言葉を思いつきましたので そんな感じの内容です

(思いついたのか、どこかで聞いたのかは定かではありませんが!)

私事ですが 毎年のように技能検定の指導をしているんですけど その時に教え子から言われがちな言葉がありまして、

「旋盤の学科に熱処理の話が出てくるのが まことに遺憾であります。」

「餅は餅屋、設計とかの内容は 設計屋さんに任せますけぇ。」

「問題と答えを覚えればいい感じスか?」

「オライッ、オーライッ!!」

など、まぁ 実際はこのような言い方はしてこないものの、ニュアンスとしてはそんな感じの話題がよく出てきます

かたや当ブログをお読みになってくださっている方からは

技能検定を通して 専門的になりがちな 普段の業務以外の知識を得られ、技能の向上にもなりますね。

などの意見も寄せられ、非常にうれしく思います

という事で 前置きが長くなりましたが、今回はだいぶ昔の記事でも取り上げました 『広く深く』について もう少し掘り下げ

専門外の分野についても 意外と繋がりがあるかもしれませんよ、って感じのことをお伝えできればと思います

広く深く

ところで技術と技能ってどう違うの?って話。

  お世話になります。 きり彦です。 今回は技術と技能ってどう違うの?というテーマで話をさせていただきます。 この話題ってたまに会社の上司・先輩や学校の先生に聞かれたりしませんか? 言葉的に ...

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旋盤-テーパー加工から繋がりを感じる

今回は例として 旋盤作業の加工要素の1つである『テーパー加工』をテーマに見ていきましょう

なぜ『テーパー加工』を取り扱うと言いますと・・なんとなくです 目についたので!

チラシ裏からテーパー

「そもそもテーパー加工とか知らんのやけど・・・」という方は 以前記事にしていますので そちらを参考にしていただければと思います。

【旋盤】テーパー加工のやり方や角度の計算について

お世話になります。 今回は旋盤作業ではお馴染みのテーパーについてお話しします。 お馴染みと言っても技能検定では角度が決まっているので実際に角度の計算などはしたことがない、という方もおられるかと思います ...

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テーパー加工はどの設備で行う?

先ほどは 旋盤の加工要素として テーパー加工を挙げましたが、実際は様々な加工分野で扱われていますね。

切削加工である旋盤以外にも、研削や放電加工など様々な分野で テーパー加工という言葉を聞きます。

テーパー加工の種類

ここは テーパー形状の部品を加工する際にも色々選択肢がありますよ、っていう話です。実際は 所有している設備に左右されますが・・・。

個人的には 設計や図面を書く人にも 聞いてほしい話ですね。

加工する設備によって 加工精度や加工時間が様々で、使い分けていきたいところ。

私の経験なのですが、設計上は 加工精度や表面粗さがラフでもいい製品に 研削仕上げの指示が付いてたことがあり、少々勿体ないなと思ったことがあります

相手が知り合いでしたので 問い合わせてみたところ、

「焼き入っとるけん、研削じゃないとキツかろ?」(追加工でしたので焼入れ前の加工は不可)

と、気を使って頂いていた感じでした。

加工できる硬さですよ、と伝えると 旋盤でよろしく、とのこと。

「安くなるなら 是非そっちで。いやぁ、予算 浮きますなぁ^^」

依頼をする側、受ける側の双方が 色々知っていると、時に得をすることもあります

(この場合加工する側が得をしたかは 捉え方次第ですが・・・)

テーパー加工に必要な知識

旋盤でテーパー加工を行うに当たって 最低限必要な知識

加工方法の知識 

図面の読み方

測定や検査のやり方

この辺りになるかと思います。(図には載せてませんが旋盤の扱い方なども)

テーパー加工の要素1

この辺りだとまだ 他分野への繋がりは 感じにくいかもしれませんね。

それぞれをもう少し細かく見てみる

先ほど挙げた 加工方法・読図・測定 を細かく見ていきましょう

(繋がりとか言っておいて ざっくばらん ですが・・)

テーパー加工の要素2

加工方法は 手順の理解と 段取りの理解に分かれます。

それはともかく、読図の際は 形状の理解は当然ながら、図面にはテーパーの角度は記載されていないことも多いので 角度を振るにも 計算が必要ですし、

測定では 図面から規格・公差を読み取り、適切な測定具を選ぶ必要があります

(まあ最近では NC旋盤を使って CAD/CAMでオライッ、オーライッ!!ってことが多いですが)

テーパー加工の要素3

一言にテーパー加工の方法と言っても、刃物台を(旋回台)を傾けるやり方や ワーク自体を傾けるやり方、内径ではテーパーリーマで仕上げるなど 色々あります

角度の計算と言っても 加工の指示記号の意味を知り 三角関数とかを使う必要もあります。(CAD使えば・・・

測定方法にもダイヤルゲージで測り 計算して角度を検査することもあれば、投影機などで測定することもできます。

現物合わせなら 光明丹で当たりを確認するだけの場合も多いです。

自分が使用できる 設備や測定器を適切に使い分けると儲けにもつながります。(時間削減にも)

最低限の 製図・測定の知識は必要だと分かりますね。  知識の量は 選択肢の多さにもつながります。

更に細かく見てみる

それぞれをもう少し細かく見ていきましょう。

テーパー加工の要素4

旋盤を扱われる方は「製品を冷ましたら寸法が変わるよ」と 先輩に言われたことがありませんか?

最近は NC旋盤やマシニングで加工する際 クーラントをバシバシかけながら 作業することも多いので実感しにくいですが、

乾式(クーラント無し)での作業や クーラントの能力が足りない場合などは 事実 問題になってきます

(特に サブミクロンくらいの精度を狙おうとすると 湿式でも問題になる事があります)

と言うところまでは結構耳にしますが この時に 測定器も伸び縮みすることを言ってくれない先輩もいますよね。

さらに言うと測定器のマスターも伸びますしね。(じゃあどうするの?ってところは今回の趣旨と違うので割愛します)


また もの凄く精度が必要な場合は 刃物の高さにも注意が必要です。

高さが変わるとテーパーの角度が わずかに変化します。(大体の場合はほぼ影響ないですが・・)

同じ理屈で ダイヤルゲージなどで角度の確認をする際も ワークの中心を測らないと 微妙に誤差が出る可能性があります。


その他にも 薄肉のテーパー穴を加工するときなどは チャックの把握力によって 変形やうねりが発生する場合がありますし、

どうしてもセンタが突けない場合はビビりや 曲がりが生じやすいこともあります。 この辺りは 本来は力学とか物理とかの分野ですよね。

光明丹で当たりを見る時は 手仕上げの分野で耳にすることが多い 『赤当たり』や『黒当たり』とかも知っておいた方がいいかと思います。

光明丹と言えば 成分的には一般に『四三化鉛』ですので 材料の種類によっては 使用後ちゃんと拭き取らないと 腐食の促進にもつながります。

 

おわりに

お疲れ様でした。

そんなこんなで テーパー加工1つをとっても 色々な分野の知識を持っていた方が より深くまで追求できるかと思います。

と言うより個人的には 機械加工は科学的原則と算術の集合だと思っておりますので 、

「旋盤を極めよう」とか言ってしまうと 最終的には科学や数学をひたすら勉強していくことになるかも知れませんね。

 

今回はテーパー加工から 製図や検査、数学チックなところの関係を見てみました。

こんな感じで今後も 様々な分野の繋がりを見ていけたらなと 思います。

色々関連付けて覚えるようにすると 初めてやる作業でも 要点が掴みやすいかもしれませんよ。

 

少々長くなりましたので 今度からはもう少しシンプルな説明ができる様に頑張ります。

お読みいただきありがとうございました!

 

ちなみにこの記事は

『気温の影響を考慮せず 製品数百個を全滅させた ことのある』私が、

『テーパーの当たりの見る時に 滴るほど光明丹を塗りたくっていた』先輩を見て  書くことを決めたりしたとかなんとか・・

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