基礎知識 技能士の雑記

ところで技術と技能ってどう違うの?って話。

 

お世話になります。 きり彦です。

今回は技術と技能ってどう違うの?というテーマで話をさせていただきます。

この話題ってたまに会社の上司・先輩や学校の先生に聞かれたりしませんか?

言葉的にはよく似た2つですがその違いについて私と考えてみませんか?

今回のポイント↓

・ズバリ技術と技能の違いって?

・技能にも種類がある

・「広く浅く?」「狭く深く?」技能士の理想って?

 

ズバリ技術と技能の違いって?

よく言われるのが

技術は手段や方法、言葉や数字・記号で表せるもの「形式知」と呼ばれるもので、

技能は言葉では伝えづらいカン・コツや経験値といった「暗黙知」と呼ばれるもの

こんな感じでしょうか。(形式知・暗黙知はたまに技能検定でも出ます)

 

私のイメージですがプラモデルを例にとってみますとこんな感じです。

プラモデルを作る際多くの方は説明書をみて組み立てると思いますが、説明書には組み立てる手順や方法を言葉や図で示しています

一方いざ組み立てるとなると同じ説明書を読んだ人同士でも組み付ける速さや出来栄えの美しさが変わってきますよね。

中には説明書の通りでは満足できずパテや接着剤で部品同士の隙間を埋めたり、塗料で塗装する人もいるでしょう。

このように広く人に与えられるもの(説明書)を技術個人個人が持っている能力(組み付けるうまさ)を技能と呼ぶこともできると思います。

ここまでの内容だと感覚的なものが技能であると知識的なものが技術って感じますよね。本当にそうでしょうか?

 

技能にも種類がある

学生時代に数学の授業で図の中の角度を求めましょう、みたいな内容をやると思うのですが覚えていますか?

ちなみに私はいつ習ったかとかは覚えてないです!

これを例に技能の種類についてみていきましょう。

感覚運動系技能

写真のような問題を解こうと思ったときすでに分かっている120°と比較して「なんとなく60°かな?」てわかる人もおられるかと思います。

何なら自分の頭の中に絶対的な角度の感覚を持っていてそれと比較して答えを出す仙人みたいな人もいます。

今回は頭で考える例でしたが、このような感覚的な判断や五感を使った反応・動きができる技能は【感覚運動系技能】と呼ばれます。

技能と聞くとこのような能力を思い浮かべる人が多いと思います。

それでは違う視点で同じ問題を解いてみましょう。

知的管理系技能

写真の問題を解くに当たって多くの人はこんな感じで解くのではないでしょうか。

「三角形の内角の和は180°」「二等辺三角形の底辺の角は等しい」「平行線の対頂角は等しい」などそれぞれの知識を一つずつ習ったうえでそれを組み合わせて解いていくといった感じです。

こういう問題って得意な人と苦手な人がいますよね。このように一見知識的で「技術」に見えるようなものも、使いこなすのには個人差があり技能と言えるのではないでしょうか?

知識的ではあるものの使いこなすには慣れや微妙な勘どころがあるものを【知的管理系技能】と呼ぶそうですよ。

ちなみに製造業の世界では設計やNCプログラムの作成、工程・品質管理などがこの技能に含まれます(ほかにもたくさんあります)

 

「広く浅く?」「狭く深く?」技能士の理想って?

少々話題は変わりますが広く浅く・狭く深く、という言い回しを聞いたことはありませんか?

よく対人関係の話で使われ様々な意見があるかと思いますが、こと技術・技能の世界ではどちらが理想だと思いますか?

私個人の考えだと捉えていただきたいのですが、私は技術・技能には広く浅くはあれど狭く深くは存在しないと考えています。今回は製図を例にして考えてみたいと思います。

ここで言う「深い」とは「高度な技術・技能」に置き換えられると思いますが製図という分野における高度な技術・技能とは何でしょうか。

よい図面に求められることは様々だと思いますがその一つには「加工する人や・お客様にとって伝わり易い図面」というのがあると思っています。

では伝わり易い図面を書くにはどうすればいいでしょうか?製図のルールを完璧にマスターする(一つの分野を追求する)ことでしょうか?

私はそれだけでは足りないと思っています。図面を書くルールを知っていても加工を知らなければ加工する人が作業しやすい図面にはならないですし、加工のやり方や製図のルールを浅く知っているだけでは上手く知識を使いこなせず、人によって判断がばらける図面ができるのではないかと思います。

加工の分野でも同じことが言えて、加工を上手に行うには図面を読む力は大前提になりますし図面から設計者の意図が読み取れるか否かで加工手順も異なってきます。

材料の知識も当然必要ですし精度を出すには物理的な視点もなくてはならないと思っています。私の周りの人を見てもやはり深い技能を持っている人は様々な分野の知識を持っている「広く深い」方々なんですね。

 

終わりに

今回は技術と技能の違いから技能士の理想の姿っぽいことを考えてきました。いかがだったでしょうか?

皆様にとって技能とはどのようなものだとおもいますか?

私にとっての技能は「今までに学んできた知識、或いは体感した経験を適切に組み合わせ、得たい結果に向けて活用すること」です。

以上を今回のまとめとさせていただきます。皆様にとって少しでも参考になることがあれば幸いでございます。

 

今回もお読みいただきありがとうございました!

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