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OJT・OFF-JT・SD(自己啓発)についてと個人的に思う事

お世話になります。

4月も半ば、新社会人の方の中には すでに現場に配属されている方 集合教育を受けられている方 様々だと思います。

今回はそんな話と やや縁のある『教育訓練の3本柱』についての記事になります。

教育訓練の3本柱とは『OJT』『OFF-JT』『SD』の事を言います。

各種技能検定の学科(特級は実技含む)にも出題される事もあるので 覚えておくといいかもしれません。

 

よろしくお願いします。

教育訓練の3本柱

概要と個人的に思う事を書いて行きます。

OJT (on the job training)

オン ザ ジョブ トレーニングと呼びますが、通称はオージェーティーです。

実際の仕事に就いて それをこなしながら 技能・技術を習得する訓練法です。

上司や先輩(トレーナーやペアコーチと呼ばれる事もある)と一緒に仕事をしながら行います

メリット

実務に就きながらなので 実践的な教育が行えます。また実際に職場に配属され行うので 職場の課題と直接向き合う事が出来ます

基本的に 先輩等とマンツーマンや それに近い形で学べるので 質問や相談などもしやすいと言われます。

デメリット

工夫しなければ その時にある仕事で 訓練していく形になるので 計画的な訓練はやりにくい

またその仕事に必要な能力を 優先する傾向があり 体系的に学べないこともある

職場や作業エリアの独特な文化や通例が採用される職場においては 理論的ではない場合もあり

 

個人的に思う事

製造業 とりわけ技能職であれば ほぼすべての職場が OJTをベースに指導をしている感覚。

メリットデメリットについては概ね上記の通りだとは思います。

前工程や後工程の感覚が掴みづらかったり、視野が狭くなりがちなので 時期を見て自分の仕事以外の事も経験させるのが吉

ただ 『マンツーマン』というのがメリット側になっていますが 場合によってはデメリットにもなりえるかと思います。

コーチと新人君の相性にかなり左右されやすく 教育放棄や 職場内での いじめの原因にもなりかねません

完全に一人に付かせるのではなく 職場内の出来るだけ多くの人に関わってもらうのがお勧めです。

『新人は職場全員で大切に育てる』という感覚を持ちましょう。

計画的に行いにくいとありますが 教育期間を長めにとったり 納期が許せば 作業の順番を変えてみると上手くいきやすいです。

 

OFF-JT (off the job training)

自分の職場から一定期間 離れて教育訓練を行う方法

社内教育もあれば 社外の講習会に参加などのパターンも有る。(特別教育とか技能講習とか)

メリット

何を教えるかが 事前に決められているケースが多いので 計画的に実施できる

実務に直接必要ではないが 間接的に大事な 体系的・理論的な教育が出来る

デメリット

教育用の設備や道具を使うので 場合によっては実践的な内容から離れ勝ち

集合教育になり易く 質問や相談などはし辛いかもしれません。

また 集合教育で 参加範囲が増えるにつれ それぞれの職場の課題からは離れていく傾向があります。

 

個人的に思う事

大企業さんだと特に多いイメージ。

一定期間とは言いますが 1週間~2時間程度といった感じで 期間はさまざまです。

自動化・無人化が進んでいく現代においては 重要度がだんだん上がってきている印象にあります。

メリットの方に理論的とはあるものの 社内教育の場合は 今までの実績や 職場の体験談などが入る場合もあり 理論性に欠く場合もあるイメージです。

職場の課題から離れ勝ち というのはその通りで、教える側は『この教育で何を教えるか』だけでなく『この教育に何が求められているか・期待されているか』など、

職場や 受講者の年齢層等に合わせて 事前にリサーチするなどの歩み寄りが重要だと感じます。(社内教育の場合)

一方 自分が教える側の場合 油断していると 実務ガチ勢からの エグ目の質問が飛んできたりするので注意です。

教える側より知識がある 受講者も度々来たりします。

 

SD self development (自己啓発)

読み方は多分 セルフデベロップメント。日本においては大体 自己啓発と呼ばれます

企業により捉え方は様々ですが、自発的に学び、または訓練する・してもらうという方式です。

技能検定についてもこの方式に入る事が多いです。

メリット

学ぶ側が 自分の需要に応じて、自分のペースで学習できる

デメリット

本来強制される事ではないので 個人のやる気に左右され 継続がやや困難

何を学べばよいか、その後にどのような教材を使えばよいかを探すのが困難

 

個人的に思う事

会社から正しく推奨・サポートされ 一人ひとりが前向きに取り組むことができると 非常に大きな効果があると考えます。

先述した通り 企業・個人の捉え方は様々で、就業時間中に 自己学習の時間を設ける会社もあれば そうでない会社もあります。

福利厚生の一部として セミナーなどを会社持ちで受講できるところもあります。

技能検定については 訓練時間を就業中にやる・やらないがありますね。

個人的には会社のサポートが大事で、頭ごなしに「自発的に学べ」とするのではなく、 会社の実情や 将来への方針などが 従業員の目の届く範囲に置かれ

会社が必要とするスキルが 一人ひとりに伝わるようになっているべきだと考えます。

また職場内での自己啓発に対する温度差や価値観が問題になる事も考えられます。

会社に早く来て 遅く帰る従業員を 容認しすぎると 『そうしないと駄目』という風土が育ちがちです。

「アイツは早くから来て 勉強して良い」までならギリギリいいかもしれませんが、

「アイツは時間外で勉強しないから駄目だ」となってしまうと 自己啓発が強制される環境になる場合があります。

自己啓発をやっている人にプラス評価は良いですが やってない人がマイナス評価を喰らうっていうのはなんだかなぁと思います。

目に見える場所で自己啓発をしている時間で評価するか 実務に活かせていると判断出来たら評価するかは考えましょう。

加えてですが、実務で必要とされる知識についても「自分で学べ」といってくる輩もいますので注意しましょう。

 

おわりに

教育訓練の3本柱についての話でした。(後半はやや愚痴っぽい感じになりましたが)

どれが絶対的に優れている、というわけではなく 上手に使い分けるのが大事かと思います。

因みに私の職場では『10分で学べる○○』って感じの資料を自作して OJTの合間(自動加工中や手待ち)で気軽にOFF-JTを出来るようにしていたりします。

 

 

今回は以上になります。

お読みいただきありがとうございました!

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