お世話になります。
今回は軸受けの損傷:クリープについての補足記事となっています。
よろしくお願いします。
軸受けの損傷まとめはこちら。
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今回の内容
・クリープについて
・原因と対策
クリープについて
クリープとは軸と軸受け間の はめあい面に隙間が生じた際に はめあい面通しが円周方向にずれる現象です。
機械加工をされている方は フライス盤やボール盤で加工中 刃物が食いつき 刃物は停止して主軸だけ回っているところを想像していただければと思います。(あくまでイメージです)
損傷の見た目
よく見るのが 円周方向に 擦り傷やかじり摩耗が発生しているものです。
スミアリングのようにも見える 鏡面や曇った面を生じることがあります。
また 損傷部位に フレッチングのような変色が見られることもあります。(なんなら同時に発生することもあります)
発生個所と検定での判断
他の損傷と区別が付きにくい所もありますが、発生個所がほぼ内輪内径面に限定されるため、内径の写真でないものは 他の損傷とみて良いかと思います。
またスミアリングや かじり傷は 損傷の成り立ちを考えると 内・外輪の軌道面と転動体との間で発生するため、そこで区別ができます。
フレッチングとは 基本的には 摩耗粉の有無で区別をつけますが、クリープも変色していることもありますので 円周方向にかじり傷などがないか 注目しましょう。
再使用は出来るの?
損傷の度合いが軽ければ 一般的な機械では再使用可能です。
精密機械などでは使用しない方が良いかと思います。
原因と対策
はめあい面に ズレが発生する現象なので 締め代が少ないことが原因の一つになります。
また はめあい面の摩擦が少ないと発生する とも判断できるので、軸・ハウジングなどの精度不良も原因となります。
軸などの 円筒度や真円度が出ていない場合、はめあい時に 点や線で接触することも考えられます。
軸と軸受けは 直接取り付ける場合と スリーブなどを噛ませる場合がありますが、そちらについても 締め付け力が不足していると発生しやすいです。
したがって対策としては 締め代や スリーブ締め付け力の適正化や 軸・ハウジングの加工精度確認・検討 となります。
油・潤滑油をあらかじめ塗っておくと クリープ発生時に損傷が少ないです。(感覚的には滑りやすくはなりそうですが)
また円周方向(ラジアル方向)の荷重が大きいと発生しやすくなりますので 急な加減速など その辺りも見直してみましょう。
スリーブのイメージが付かない方は ベアリング_スリーブ_取り付け で画像検索してみてください。
検定での勉強方法について
写真=損傷損傷 で覚えるのではなく 損傷名称+損傷の成り立ちのイメージ=写真 で覚える方が 写真のパターンを変えられた時でも対応しやすくなります。
また損傷の成り立ち(発生している様子)をイメージできるようになっていると 原因や対策も理解しやすいかと思います。
今回は以上になります。
お読みいただきありがとうございました!