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【改善ネタ】集じん装置の安全対策 起動忘れ防止【用品紹介】

お世話になります。

今回は 改善ネタ+用品紹介 としまして、『集じん装置の安全対策』についての記事になります。

具体的には 圧力センサを使用して 集じん装置の起動忘れを防ぐ といった内容になっています。

改善のターゲットとしては 汎用機(手で動かす系)作業で 設備と集じん装置が一体でないものを想定しています

今回のメイン

オムロン デジタル圧力センサ(エア)

E8F2-AN0C

リンクを押すと オムロンの 商品ページに飛びます。

 

改善報告書っぽい項目と 改善の目付きの 2パートに分けてお話しします。

改善報告書っぽいやつ

改善『提案』と言いつつも 改善『報告』として扱われがちなので そんな感じで。

件名

『集じん装置 起動忘れ防止による 作業の安全性向上』

対象設備・改善内容・改善の目的 とかを入れると良いかと思います。

対象設備 または 作業

『集じん装置 及び ベンチグラインダ』

集じん装置イメージ

集じん装置とは

製造業ではお馴染みの 粉塵や 時には有毒ガスを 吸って 作業者への曝露を防ぐやつ。

集塵機とか バグフィルターとかで呼ばれる。

まぁ、掃除機のバケモンみたいな感じです。

 

現状の問題点

集じん装置イメージ

『ベンチグラインダでの 研削作業において 粉塵が発生するので 集じん装置(外付け)により 粉塵を吸引し 作業者への曝露を防いでいるが、

集じん装置の電源及び起動ボタンが 離れた位置にあるため 起動忘れによる ヒヤリハットが報告されている。

また 集じん装置ダクトの損傷(ピットや破れ)やフィルタの詰まりにより 吸引能力の低下 の可能性もあり、作業者への健康被害が懸念される。』

 

改善内容(または提案)

圧力センサ配線

『集じん装置のフード部(吸気口)に圧力センサを取り付け、一定の負圧が発生している事を ベンチグラインダ起動の条件とした。

これにより集じん装置が運転していなければ作業が出来ず、集じん装置の起動忘れを防止することができた。』

※もう少し詳しい解説を 後述の改善の目付きで説明します。

 

改善費用

オムロン デジタル圧力センサ(エア)E8F2-AN0C:¥16,720

オムロン ミニパワーリレー :¥1,410

オムロン リレーソケット  :¥480

オムロン パワーサプライ  :¥6,100

 

配線     エアホース

制御BOX   エアホース接続部(製作)

DINレール  など

作業工数

(工数によりますが 35,000くらいです)

 

改善効果(または見込み)

リスクアセスメントによるリスクレベルの評価 〇→〇

(安全対策系は改善効果の部分は少々悩みますね)

 

今回の改善の目付き・考え方

今回のテーマは『集じん装置の起動忘れ防止』という事でしたが、色々な改善案が考えられますね。

今回は圧力センサを使用しましたが 単純な表示や グラインダを起動させると集じん機の起動もするような対策など様々あると思います。

圧力センサを採用したのは 何点か理由が有りまして、大きなところで言うと フェールセーフとフールプルーフの観点です

フェールセーフ

人の間違いや 設備の故障が起きても 安全な方向に事が進むようにする、みたいな考え方

フールプルーフ

人が間違えを起こさないような仕組みを作る、みたいな考え方

他の改善案との検討

『表示を行う』は 差しあたっての対策としてよく使われますが、表示をしたばかりの頃はいいですが、

作業者が慣れてくると 風景化してしまい効果が薄くなり そのうち起動忘れが発生する懸念があります。

グラインダを起動させたら同時に集じん装置も起動するみたいな案もありますが、その場合は集じん機が壊れている場合でも作業が出来てしまいます

また集じん装置が複数の設備に繋がっている場合は 集じん装置を起動したくないシーンもあります。

(今回の場合だとグラインダの砥石交換時の時は 集じん装置が起動していたら鬱陶しい、など)

 

悩んだところですと、

圧力センサによるインターロックでなく 集じん装置の起動ランプからのインターロックでも良かったですが、

こちらも 集じん機が壊れた場合や ダクトの損傷やフィルタの目詰まりなどで 吸引力が小さくなっても作業が出来てしまいます

(集じん機のモーターが壊れて動かなくなっても 起動ボタンを押すと回路の自己保持が掛かり ランプは点く場合があります。)

 

以上のような懸念点があり 集じん装置の吸い口付近で 実際に吸引が行われていることを起動の条件としました

圧力センサ配線

集じん機の制御風速や風量には 規定がありますので 風速計を使った制御も考えましたが

・粉塵や 酸性ガスが接触する場合は 測定子が破損・劣化する。

・かといって作業の風上に設置すると 正しく風速が測れない。

・別口で 風速計用の吸い口を用意すると 集じん能力が低下する。

このような問題点があり、圧力センサでのモニタリングとなりました

 

ただし、圧力が幾らなら 既定の風速になるかを 設定するのが面倒臭かったり、気圧の変化によって圧力が変化することもあったり デメリットはあります。

風速計で測定しながら 既定の風速になったときの 圧力を確認して 設定圧を決め、気圧の変化を考慮して設定圧に余裕を持たせています。

 

効果に対して 予算が掛かる感じは否めませんが 作業の危険度に応じて 設置する設備を検討したり、

改善の考え方の勉強をする際のモデル設備として使用したりするのがお勧めです。

 

※電源の容量や極性など 考慮する点が結構ありますので、詳しい人と一緒にやりましょう。(何でもですが)

 

今回は以上になります。お読みいただきありがとうございました!

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