お世話になります。 きり彦です。
今回は前回に引き続き切削速度のお話をしようかと思います。
切削速度とは「工作物を刃物が削る速度」と前回説明いたしました、ではその切削速度はどのようにして決めるのでしょうか?
どのようにして決める、と言っても結局はいつも通り人・会社によって様々ですが私なりのやり方を説明致します。
今回の内容
・切削速度の決め方
・色んな人が色んなことを言う
・イメージで覚える機械加工【切削速度×マラソン編】
今回もよろしくお願いします。
切削速度の決め方
とりあえず詳しい人に聞いてみる
決め方と言っておいてそれはどうなんだ?、と思いますが結局一番速いと思います。
私はいわゆる見て覚えるタイプとは程遠いので昔はしょっちゅう先輩やベテランの方に聞いて困らせてました。
この方法のデメリットとしては
・人によって条件の決め方に差がある
・解決までは速いが答えを聞くだけだとなかなか身につかない
・初めて削る工作物・刃物には不向き
加えて、詳しい人が周囲にいないとどうにもならない、後輩に聞かれると詰む場合がある、という感じでしょうか。
以上雑談チックな話でした。次は少々具体的に考えてみましょう。私なりの検討手順を貼っておきます。
まずはメーカーの推奨値を確認する
工作物を切削するには刃物を使用しますが、その刃物については様々な刃具メーカーが様々な種類の刃物を取り扱っています。
そして刃具メーカーのカタログやサイトには取り扱っている刃物の推奨条件が書かれていることが多いです。まずはこれを確認してみましょう。
営業の方に問い合わせてみるのもいいかと思います。(お手数はお掛けしてしまいますが…)
と言っても推奨条件はあくまで参考として使いましょう。メーカーさんは研究・実験を通して推奨条件を決めている場合が多く、
同じ条件で加工できることはほとんど無いと言っていいでしょう。設備の剛性やクーラントの有無などによってその場での理想的な切削速度は変わります。
余談ですが私は仕事の際、結構古い旋盤を使ってますので推奨値より遅めで始めてます。
加工テスト・結果の確認
推奨値をベースに一旦これでやってみよう!という切削速度が決まったら工作物の直径から主軸の回転数を決め、実際に切削を行ってみましょう。
そのあとに加工結果を確認します。内容としては仕上げ面の状態、寸法精度、刃先にチッピングや溶着・構成刃先などがないか、などになるかと思います。
出来れば一回のテストでなく継続して結果を確認したいところではあります。特に刃先の摩耗については一回の切削では判断がつかない場合が多いです。
テストの時間・回数については人・会社によって割ける時間に限界があるかと思いますのでそこも検討が必要ですね。
条件見直し
テストを行い結果を確認したら条件を見直します。
一般的に仕上げ面が悪ければ速度を早くする、刃物の寿命が短かったら速度を遅くするなど製品や刃物をよく観察して次の条件を決定します。
以下一般論ですが切削速度が速い場合と遅い場合の影響について軽くまとめたものを貼っておきます。(参考までに)
と言っても実務で考えた時、特に大量生産ではなく一つしか製品を作らない場合はテストとか言ってられない時もあるかと思います。
そのような場合は結局職場の人と相談するのが安定かと思います。(先ほどさんざんデメリット挙げておいて難ですが)
以下余談です・・・
色んな人が色んなことを言う
ここまで条件の決め方、一般的な切削速度の影響についてお話ししましたが中には「なんか違わん?」と思われるかもしれません。
周りの人に聞いた時やネットで調べた時など、皆口々に違うことを言われたことなど経験されている方もおられるのではないでしょうか?
切削条件は設備の剛性や材料のつかみ方、クーラントの種類など、言えばキリがないくらい様々な要因が関係して変化します。
そういったこともあり作業する人、或いは職場環境などによって一般的に言われている条件と相違が生じる場合があり、
さらにはそれが職場のノウハウになり、自分たちの常識になり、といったことがしばしば起こります。
ノウハウを持つのは非常に大事なことですが、注意も必要なことだと思います。
人に教える時などは特に「なぜ、こうなるのか」を大事にしたいものです。(非常に難しいですが…)
おわりに:イメージで覚える機械加工【切削速度×マラソン編】
お疲れさまでした。
さてここまでお話ししましたが、実務を行うにせよ検定を受けるにせよ覚えることって多いですよね。
皆さんは普段、どのような感じで勉強した内容を覚えていますか?
私はできるだけ理屈で覚えるように努めていますが、一旦分かり易いイメージで覚えることも多いです。
今回の切削速度の影響については以下の感じです(参考になるかはわかりません)
個人的には感覚的に覚え易くはありますが、人によってその感覚が違うので説明するときは注意しています。
中には直感に反することもありますのでやはり理論を覚えるのが大事だな、とは思っています。(実行するのは大変ですが…)
なお私に加工を教えてくれた先生はこんなことを言われていました。
今となっては分らんでもないなって感じです。(昔はお酒入ってたんじゃないかと思ってました)
今回は以上になります。
お読みいただきありがとうございました!